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2011年9月

2011年9月18日 (日)

2011.09.18

2011年9月18日の作品

<作品>

万物をやわらかく潤すのが春雨なら、今ごろの秋雨は夏のほてりを冷ますしめやかなイメージか。言葉としては「春雨」の方が古くからあったという。国語学者の故金田一春彦さんによれば、秋雨は春雨に対する言葉として江戸の中頃に生まれたそうだ▼だが、時の文人たちはこの新語をだいぶ苦々しく感じたらしい。当時の書物には「春雨に対して秋さめと心得給(たま)ふは大(おおい)に非也(ひなり)」などと「日本語の乱れ」を嘆くくだりもあるという。金田一さんの著作からの受け売りである▼そんな秋の長雨の時期に、列島は入りつつあるようだ。北に前線、南には台風が二つ、予報には傘マークが並ぶ。しめやかな雨から程遠い、大雨への警戒が各地で続いている▼先々週の台風は、爪痕の深い紀伊半島に土砂ダムを残していった。追い打ちの雨による決壊も心配される。今回、鈍足迷走の15号に南から湿った空気が流れ込む形は、先の気象図に似ているという。事なきをただ願うばかりである▼大きい川は台風が過ぎて青空になっても水位が上がり続けるそうだ。防災に携わる人は百も承知だろうが、人知を超えて来るのが災害というもの。昨日までの無事が今日の安全を保証してくれないことを、尊い犠牲とともに私たちは刻んだ▼地震に比べ、死者が数千、数百人という台風被害は近年にはない。これを、大きな作戦では勝利しながら局地戦で手痛い負けを喫していると評した人もいる。もう、これ以上の犠牲者を出さずに、台風を去らせたい。

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2011年9月 3日 (土)

2011.09.03

2011年9月3日の作品

<作品>

珍しくというか、海の向こうでオバマ大統領が弱音をもらしていた。先月、50歳の誕生日を前に、経済の立て直しについて「険しいとは思っていたが、これほど急な坂だとは思っていなかった」。米国を率いて2年半、いまや当初の熱狂はない▼この間に日本では3人の首相が去った。英誌エコノミストが先ごろ、オバマ氏らに和服を着せた表紙で目を引き、「日本みたいになるぞ」と皮肉っていた。反面教師にされる低迷を返上できようか。野田新政権がきのう船出した▼たらい回しの民主党3代目ながら、批判の声は小さい。だが、なにしろ国難である。不慣れや不手際を大目に見る余裕はこの国にはない。生まれたてのどじょっ子は、いきなり厳しい水にもまれよう▼泥臭さを売る作戦は功を奏しているようだ。世の中、長所で嫌われる人もいれば、短所で好かれる人もいる。トップリーダーには弱点ともいえる「地味さ」を裏返して、プラスの資質に見せる才はなかなかだ▼とはいえ、政権のありようが、どうにも自民党に似てきた感がある。鳩山さんは腰砕けだったが普天間問題を取り上げ、菅さんは脱原発依存を唱えた。政権運営も含めて民主党らしさはあった。その「らしさ」が薄れているように思われる▼エコノミスト誌がかつて、日本人の「失望する能力」の欠如について触れていた。問題山積の自民党政権が続く不思議への皮肉だった。その後失望力は養われて政権は交代する。希望への行程表を早く示して欲しい

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