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2012年2月

2012年2月 8日 (水)

2012.2.8

2012年2月8日の作品

<作品>

よく知られる「珈琲」をはじめ、コーヒーには数十もの当て字があるという。「可否」もわりと流布していて、獅子文六(ししぶんろく)がかつて「可否道」という、コーヒー好きたちの小説を読売新聞に連載した▼作者は「可否」の当て字が好きだったらしく、登場人物に言わせている。「可否が、一番サッパリしているよ。それに、コーヒーなんてものは可否のどちらかだからな」。むろんこの可否は味の良し悪(あ)しで、国会審議を抜け出して飲むことの可否ではない▼さて、その問題に加え、大臣としての可否も問われる田中防衛相である。野党の質問に「国会内でコーヒーを飲まない決意」を神妙に答えた。いい人なのは分かるが、知識を試されるクイズのような質問にもたつく。素人ぶりをあぶり出そうと言論の府もレベルを落としている印象だ▼防衛と安全保障は一国の大事である。その本流をおいて、脇の水たまりでメダカすくいをしているような論議では情けない。おりしも沖縄をめぐる米軍再編の見直しが動きだしている。普天間問題の、軽くはない局面である▼20世紀初めのフランスの首相クレマンソーが、同時代の政治家2人を評して言ったそうだ。「ポアンカレは何でも知っているが、何も分からない。ブリアンは何も知らないが、何でも分かる」。基礎知識のおぼつかない防衛相には、励ましとなろうか▼何も知らない、何も分からない、が最悪なのは言うまでもない。可か否か。秘書官を代えた効果にわずかに期待してみるが。

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2012年2月 7日 (火)

2012.2.7

2012年2月7日の作品

<作品>

先の小欄で国連の名事務総長だったハマーショルドについて書いたら、たくさん便りをいただいた。その名のついたニューヨークの公園の写真を送って下さった人もいて、懐かしく眺めた。国連近くの小さな公園で開かれる色々な集会を、在米中によく取材したものだ▼抗議の集会がそこでは多い。中国からの独立を訴えるチベット人のハンストもあった。ミャンマーの人は自国の民主化を叫んでいた。多くは少数派と呼ばれる人たちだ▼そうした「抗議する人」が昨年暮れ、米誌タイムの恒例の「今年の人」に選ばれたのは記憶に新しい。「アラブの春」をはじめ、勇敢に抗議した人々が変革を生んだからだ。だが、その春から1年、抗議の波及したシリアがいま血に染まっている▼5千人以上が死亡というから、もはや大量殺戮(さつりく)だ。反体制派も武器を取って内戦が危ぶまれる。なのに、頼るべき国連が、またぞろの機能不全である。武力弾圧の停止を求める決議案が安保理で葬られた▼拒否権を行使したロシアと中国を、米などは激しく難じる。しかし米は米で、イスラエルに不利な採決には拒否権を連発してきた。大国のご都合主義と思惑がぶつかり、惨劇に手を打てない図が変わらない▼死して半世紀、今も敬愛を集めるハマーショルドは国連をこう語ったという。「人類を天国に連れて行くために作られたのではない。地獄に落ちるのを防ぐために作られた」と。詩人にしてリアリストだったその人が、天界で嘆いていないか

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