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2012年3月

2012年3月27日 (火)

2012.3.27

2012年3月27日の作品

<作品>

様々にある引退の中で最も潔いのはお相撲さんだろうか。場所中でもすぱりと辞める。だが勝負の世界ならずとも、重責を担った人の引退表明は重い。撤回は気恥ずかしいはずだが、さてこの人はどうか▼政府の原子力安全委員長、班目(まだらめ)春樹氏の引退表明がぐらついている。「精神的に限界」だと今月末での辞意を明かしたが、その後、「パッと本音を言ったが、他の委員の慰留を受けた。国会同意人事でもあり……」と後退した▼新組織の原子力規制庁が4月1日に発足し、安全委は廃止されるはずだった。だが法案が審議入りできず、組織替えの日程はめどが立たない。それを知りつつ辞意を表明したのだから、かなりお疲れには違いない▼班目さんは震災後の官邸の「主役」の一人だった。当時の菅首相に「起きない」と断言した原発の水素爆発が起きた。首相から「俺の相談相手はほかにいないのか」と酷評されている。苦い日々だったろう▼委員会は廃止を控え、委員長は先に辞意表明。それでも先週は、福井県の大飯原発の再稼働に向けた国の審査を認めた。審査をした原子力安全・保安院も廃止の予定だ。つまり安全神話を作り上げてきた旧弊まみれの組織が、再稼働の歯車を回している図になる▼東京電力の原発が昨日で全部止まり、残る稼働中は北海道の1基になった。このままゼロにするか再稼働か、軽い分かれ道ではない。稼働ゼロの体験を確かな一里塚にしたい。関係者は引退するが、子らの将来は続いていく

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2012年3月16日 (金)

2012.3.16

2012年3月16日の作品

<作品>

閏年(うるうどし)の真剣勝負といえば、オリンピックとアメリカ大統領選である。結果は予断を許さず、少なくとも前者はフェアプレー精神に従う。春めくにつれ、ロンドン五輪への期待が膨らんできた▼サッカー男子が五輪出場をかけたバーレーン戦。もどかしい0―0で後半が始まって間もなく、扇原選手が慣れない右足で先制、続けて負傷明けの清武選手が追加点を突き刺した。「こんなにうれしいものなんだ」。主将を務めた権田キーパーのコメントは、いつも率直でいい▼原則23歳以下の五輪代表は、10代で世界大会への出場を逃し、「谷間」と呼ばれた世代らしい。大器晩成ともいう。「なでしこ」と張り合って、晴れ舞台で雑草の意地を見せてほしい▼他競技の準備もにぎやかだ。男女各3人がそろって初出場となるマラソンは、藤原新(あらた)選手の「無職の走り」に期待しよう。馬術では71歳を迎える法華津(ほけつ)寛さん。北京に続いての出場で、ご自身が持つ日本人の「五輪最高齢」記録を塗り替える▼お笑い芸人の山崎静代さんは、女子ボクシングのリングに立つべくアジア選手権へ。やはり芸人の猫ひろしさんはカンボジア国籍でのマラソン出場を狙う。当然、奇策には批判もある▼硬軟の話題をふりまくオリンピックという言葉、日本で輝きを保つのは東京大会の残像ゆえだろう。戦後の復興を象徴するイベントに、震災からの再生を重ねる人もいるはずだ。力と技、万国旗、祝祭。それらが五色の輪に束ねられ、この春の向こうに待つ

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2012年3月13日 (火)

2012.3.13

2012年3月13日の作品

<作品>

中条きよしさんの「うそ」は山口洋子作詞、平尾昌晃作曲という贅沢(ぜいたく)な歌だった。#折れた煙草(たばこ)の吸いがらで/あなたの嘘(うそ)がわかるのよ……。もみ消したつもりのうそが、男の灰皿でくすぶる▼大阪府警の不祥事に、38年前のはやり歌を口ずさんだ。ある警察署で、凶悪事件の証拠だった吸い殻を紛失してしまう。「何とかするわ」と刑事課長、同じ銘柄の吸い殻をバス停で拾い、失態をなきことにした。監査を控えての妄動らしい▼別の署では、飲酒検挙の猛者だという警部補が、アルコール検出値を増量した疑いで捕まった。摘発された運転者も元警察官。飲んだビールは普通缶なのに、捜査書類ではロング缶にされたと抗議したため、捏造(ねつぞう)データに符合させた容疑が発覚した▼煙草も酒も昭和歌謡の小道具だ。殺伐たる時代、演歌を奏でる警察署もいいけれど、物証を軽んじた愚行は恐ろしい。自白に頼る捜査が数々の冤罪(えんざい)を生んだ歴史、まさかお忘れではなかろう▼歌の中の「うそ」は、哀(かな)しくも慎(つつ)ましい。当時高校生の筆者に鮮烈だったのは、男の口先から出た〈エプロン姿がよく似合う〉の詞だ。この種のうそに泣くのは一人だが、警察のそれは治安を揺るがす▼西が西なら東も東。警視庁の巡査部長ら4人が、パトカーで巡回中の深夜、畑でエアガン遊びに興じたとして処分された。震災直後を含め、当直中に10回ほどやったという。西も東も、皆さん職を誤った。制服姿がよく似合う大方の警察官が、気の毒でならない

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