« 2013.02.27 | トップページ | 2013.03.09 »

2013年3月 6日 (水)

2013.03.06

3月6日の作品


<作品>

このあいだに続いて堀口大学にお出まし願う。仏文学の翻訳で知られる氏に、批評家グールモンの短章の訳がある。その一文をかつて読み、ノートに書きとめた。「女を悪く云(い)う男の大部分は或(あ)る一人の女の悪口を云って居るのである」▼卓見だと思う。人はごく狭い知見や印象で全体を語りがちだ。だから文中の「女」は何にでも取り換えがきく。たとえば若者、オジサン、アメリカ人、医者、新聞記者……そして生活保護受給者もまた、しかりではないだろうか▼去年、お笑いタレントの母親の受給問題をきっかけにバッシングが起きた。あれなど、一人を悪く言うことで全体をあげつらう一例だったろう。働かない、ギャンブルで浪費している、といった後ろ指も、一部への批判が全体への色眼鏡になっているようで気にかかる▼行きつくところと言うべきか、兵庫県小野市が議会に条例案を提出した。受給者がパチンコなどで浪費しているのを見つけた市民に通報を義務づけるのだという。耳を疑ったがエープリルフールにはまだ間がある▼筆者と違う意見もあろう。だが、そもそも誰が受給者なのか一般市民には分からない。効果は疑わしいうえ、小野市だけでなく全国で色眼鏡が濃くなりかねない▼生活保護の切り下げについて、受給する女性が声欄に寄せていた。「受給者は楽しみを持ってはいけないのでしょうか。貧しい気持ちを持ったまま、暗く生きていかねばならないのでしょうか」。身に染(し)む声ほど小さく震える

<感想>

『人はごく狭い知見や印象で全体を語りがちだ』と書いた後で、その例として「新聞記者」を挙げるその神経には恐れ入る。

しかも、前段が「○○を悪く言う場合、その大部分はある一人の○○の悪口である」ということだから、その流れでいけば「新聞記者のことを悪く言う人がいるが、それはある(特定の)一人について(のみ)当てはまることであり、大半の新聞記者には当てはまらない」と言っているのと同じだ。


生活保護の受給問題にしても、それと同じだ、と言うのはそもそもおかしいだろう。

なぜ、これだけ問題になっているのかと言えば、「不正に受給している者が多いから」という1点に尽きると思う。

それを、「働かない、ギャンブルで浪費している、といった後ろ指も、一部への批判が全体への色眼鏡になっている」とするのは逆ではなかろうか。

つまり、「特亜の連中を中心として生活保護を不正に受給している者が多いにもかかわらず、生活保護費が減額されることによって、本当に困ってしまう人たちを表に出すことにより、あたかも受給者全員が生活に困ってしまう」かのごとく言っているわけだ。

特に、最後の一文。

『生活保護の切り下げについて、受給する女性が声欄に寄せていた。「受給者は楽しみを持ってはいけないのでしょうか。貧しい気持ちを持ったまま、暗く生きていかねばならないのでしょうか」。身に染(し)む声ほど小さく震える』

こんなのを、わざわざ朝日新聞なんかに投書している時点で、どうかしているけど、これこそが、朝日新聞お得意の「だが、ちょっと待ってほしい」の典型だろう。

世の中には、まじめに働いているにもかかわらず、生活が苦しくて、とても趣味や娯楽に興じるヒマなどまったくない人はたくさんいる。

そういう人たちの声は拾わないで、なぜ「ごく一部」の声だけを取り上げて、それが全体の姿だと言わんばかりの言い方をするのだろう。

だいたい、「貧しい気持ち」って、いったい何だ?
「暗く生きていく」って、どういう生き方のこと?

貧乏でも明るく生きている人はいるし、生活は苦しくても「前向きな気持ち」の人もたくさんいるだろう。

許せないのは、「たいして生活が苦しくもないくせに、生活保護を受けている上に、そのお金でパチンコとか遊興費につぎ込んでいるヤツら」ではないのか。

そういう輩を排除するために、いろいろと行政も考えているわけだから、いきなり施策そのものを批判するのはおかしいだろう。

趣旨を理解できていないのは、むしろ天声人語子の方だろう。

いや、それとも、「わかっているからこそ、こういう施策は断固として阻止してやる」というつもりなんだろうか。


« 2013.02.27 | トップページ | 2013.03.09 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1510045/50631647

この記事へのトラックバック一覧です: 2013.03.06:

« 2013.02.27 | トップページ | 2013.03.09 »

フォト