« 2013年12月 | トップページ | 2014年2月 »

2014年1月

2014年1月15日 (水)

2014.01.15

1月15日の作品


<作品>

さしずめ〈筆(ふで)を投(とう)じて戎軒(じゅうけん)を事(こと)とす〉の心境だろうか。戎軒とは戦車のこと、あるいは戦(いくさ)のこと。唐詩選にある有名な「述懐(じゅっかい)」を、細川護熙氏はかつて自著に引いて、「天下を争う戦いに、筆を投げ捨てて乗り出した」という訳を添えた▼政界を退き、詩、書、画、陶芸を心の友として過ごしてきた元首相が一転、東京都知事選に立候補する。それを、やはり首相経験者の小泉純一郎氏が応援する。掲げる旗印は「脱原発」。驚きの展開である▼エネルギーや原発政策は国策であり、首長選にそぐわないという議論はある。しかし、都知事選で光を当てることの意味は大きい。福島の事故の後に行われた一昨年の衆院選でも去年の参院選でも原発の扱いをめぐる論戦はかすんでいた▼都は並の自治体とは違う。最大の電力消費地であり、エネルギー問題の当事者にほかならない。立地の危険を地方に引き受けてもらって傍観しているわけにはいかない。今回、都民はわがこととして熟考するまたとない機会を得る▼都民だけの問題でもない。私たちの日本は未来の子孫に何を残すのか。世代を超える難題が永田町の政党政治は苦手だ。民主主義にはデモも住民投票も必要だし、地方政治も一翼を担う。首都という大舞台での論争なら、全国民の注目が集まろう▼先の「述懐」は〈功名(こうめい) 誰(たれ)か復(ま)た論(ろん)ぜんや〉と結ばれる。手柄を立てて有名になりたいなどと、だれが思うだろうか、と。勝敗はともかく、候補者同士の無私の論戦を切に望む


続きを読む "2014.01.15" »

2014年1月 7日 (火)

2014.01.07

1月7日の作品


<作品>

鞭(むち)で打たれて初めて走り出すような馬はだめなのだそうだ。優れた馬は人間のもつ鞭の影を見ただけで進むべき道をきちんと疾走していくという。「快馬(かいば)は鞭影(べんえい)を見るや正路(しょうろ)につく」。中国の禅の指南書とされる『摩訶止観(まかしかん)』にある▼この言葉を公明党の山口代表が新春の街頭演説で引用していた。そして「国民の声に、国際社会の声に謙虚に耳を傾けて、進むべき道をはずさない。これが連立政権の歩む道だ」と。ここで馬とは年男の安倍首相か、自公の2頭立てか▼靖国神社に参拝し、中韓のみならず世界から厳しい声を浴びている首相である。鞭の影を感じて進むべき道を選ぶ賢明さはうかがえなかった。打たれた後も正路をゆくかどうか。公明党を首相の御者に見立てるなら、もう少し厳しく接してもいい▼さすが年男というべきか、首相は元気いっぱいだ。年明けのお国入りでは「障害をひらりと乗り越えていく駿馬(しゅんめ)のように、ひるむことなく立ち向かっていく」と気炎をあげた。速く駆けすぎて背中の国民を振り落としてしまわないか、心配になる▼きのうの年頭会見でも引き合いに出した。馬は視野がとても広い。周りが見えすぎるがゆえに、臆病な面がある。それではいけないと首相はいう。「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」。なにごとも実際に経験することが大切だ、と▼挑戦する姿勢はむろん保っていたい。だが、周りを見て細心の注意を払うことも忘れるわけにはいかない。鞭の影で悟る快馬であれかし。


続きを読む "2014.01.07" »

« 2013年12月 | トップページ | 2014年2月 »

フォト