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2014年12月

2014年12月 8日 (月)

2014.12.08

12月8日の作品


<作品>

今年の七曜(しちよう)は73年前と同じ巡りである。1941年12月8日の月曜の朝、臨時ニュースがラジオから流れた。そのときの心情を、有名無名の多くの人が歌に詠んだ。〈日米が正(まさ)に戦ふこのニュース頰(ほお)こはばりて我は聴きゐつ〉田中みゆき▼〈宣戦のビラに痺(しび)れしごとき街今朝(けさ)の静けさかつて見ざりき〉平井乙麿(おとまろ)。『短歌で読む昭和感情史』から引いた。寒い朝の緊張は、戦果の速報とともに興奮へと変質していく。歌人の斎藤茂吉は、正午に娘と「勝鬨(かちどき)」をあげたという一首を残した▼敵方の英国にも、日本軍の真珠湾攻撃に内心欣喜(きんき)する人がいた。首相のチャーチルだ。「我々は戦争に勝った。ヒトラーの運命もムッソリーニの運命も定まった」。そんな記述が自著『第二次大戦回顧録』の12月8日にある▼米国の参戦で対独戦は一変するとの読みだった。米の国力を巨大なボイラーに例えたくだりもある。「その下に火がたかれると、つくり出す力には限りがない」。圧倒的な物量に対抗して人の命を湯水のようにつぎ込んで、日本は降伏する▼おびただしい流血であがなった平和国家の体制(レジーム)だが、いまや風前の灯火(ともしび)といえる。特定秘密保護法は選挙の喧噪(けんそう)に紛れて、あさって施行となる。そして集団的自衛権。景気論議に埋没させてはならないテーマだと、痛恨の日に改めて思う▼あとになって「あのときが」と言われる節目が歴史にはある。最後に人を救うのはアクセルよりもブレーキのことが多い。苦い歴史の教えるところだ

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2014年12月 1日 (月)

2014.12.01

12月1日の作品


<作品>

衆院選の公示を前にして疑問に思うことがある。安倍首相は先日の本紙の党首インタビューでこう語った。憲法解釈の変更について、「憲法改正をしなければ、これ以上はできないということだろうと思う」▼安倍政権は7月の閣議決定でこれまでの解釈を変え、集団的自衛権を行使できるようにした。ここまではOKだが、それ以上はだめで、やるなら条文を変える必要があるというわけだ。その線引きの根拠はいったいどこにあるのだろう▼政府は従来、憲法9条の下では集団的自衛権は行使できないと解釈してきた。そして、国会論議などの積み重ねを経て確立され定着している解釈を政府が基本的に変更することは困難だとし、行使を認めるなら条文の改正という手段をとらない限りできない、と答弁してきた▼この三段構えの堅牢な線引きを、閣議決定は一挙に取り払った。大変な荒業だった。これ以上やれば憲法解釈の「継続性、安定性」を損なうことになると首相は言う。しかし、7月の決定こそが継続性を断ち切り、安定性を奪ったのではないか▼首相の言葉に首をひねるのは消費増税の場合でも同じだ。1年半延期するけれども、その先で再び延期することはないと、「皆さんにはっきりそう断言いたします」。アベノミクスで必ずや増税できる状況にするというのだが、断言する根拠が見えない▼これらは、首相が嫌う「批判のための批判」ではない。素朴な疑問である。選挙戦を通じて解消されるのならば幸いだ

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